ショップ開業日記:スタートラインに立ってこそ
1ヵ月準備してきた、ショップを明日12:00にオープンする。
これまで、心の動きを結構赤裸々に書いてきたので「どんなにすごいのを作るんだろう?」と期待されていたら困る・・・という、自意識過剰でビビりな気持ちでいっぱいになっている。でもこんな気持ちはたぶん、このオープン前夜の今しか書けないだろうなあと思いながら、眠い目をこすりつつこれを打っているところ。
そもそもは、我流で好きな手作業をやってきていたのを傍らで見ていた友人が「ちゃんと物を売る体制を整えて、だれが見てもすぐに買えるようにした方がいい。」といったのがスタートだった。
自分と母の、身の回りの物を縫う。そして、たまに人様に譲れるものが出来た時には不定期に販売する。忙しい日常の中で、それくらいのスタンスは精一杯だったし、私は長らくその状況に満足していた。
でも中途半端な形で物を売っていた傍らで、私は根本的に仕事の意味を考え直すことになった。また昨今、ネットがあれば「本当に繋がりたい、ごく一部の人たちと繋がれる楽しさ」があることも知った。離れていても「そうそうそう!」と共感できるような、ニッチな関係。物を通してそんな輪がぐんぐん広がっていったら楽しいだろう。そしてちゃんと自分が作った物で直接お客様と繋がった形でお金を稼いで行きたいと思った。
でもコンフォートゾーンを越えるには、恐れと不安が立ちはだかる。最初にあったのは「そもそもスタートラインに立つ」という恐れ。私には無理だ、とトライすることを諦めるのは容易い。
そしてスタートしたものの、取り組む中で次々出てくる別次元の恐れ。例えば「心の奥の方から湧いて出る言葉をサイトに載せる」こと。また「商品を作る」「金額を付けてお金をもらう」「ブランディングする」・・・一つ一つに恐れが付きまとう。
そう、恐れには「段階」がある。でもそれぞれの段階で、必要なサポートを受けながら前に進めば形になる。そして恐れや不安が大きいほど、コンフォートな場所から抜けて、乗り越えた先の世界は広い。
今回出す商品は非常に小さな古いピースを組み合わせたものだ。友人から譲られた「旅先で何となく買った」というはぎれがメインになっている。
無造作に詰められたものを、一枚一枚きれいに伸ばし、微妙な色の組み合わせを何回も考えて繋ぎ合わせる。別の人の手から渡ったものが、人と出会ってちゃんと形になっていく。
今、目の前にあるものは、視点を変えるとガラクタではなくなるのだな。どんなものでも「こんなものが役に立つのか?」と一蹴するのは大間違い。些細な出会いで立派な宝物に変わる可能性はいくらでもある。
小さなネットショップをオープンしようと真剣に取り組んだ1ヵ月が無ければ、気づかなかったたくさんのこと。まずはスタートラインに立つこと。それはいつからでも出来ることだ。失敗しようがしまいが、バットを握ってバッターボックスに立つことの意味を、私は今ひしひしと感じてる。