真実を伝える人〜松任谷由実「深海の街」コンサート
今日は、松任谷由実コンサートであった。人生二度目のユーミン。いつもなら感動したり心動いたりしたことを自分なりに一応咀嚼くらいはしてからブログを書くんだけれども、今日はまとまる気がしない。でもとりあえず書く。
たしか昨年「ユーミンのツアーの初日、横須賀だってよ!絶対行きたいよね」という、近所の同級生おさないの一声があって、そして延期になった先が今回、という流れだった。
ユーミンの初めてのコンサートは2年前に見た45周年記念の武道館公演。日本のエンターテインメント界最高峰の演出をしているというのは苗場のサーフ&スノウ辺りからちらちらと聞いてはいたものの、実際にフルのコンサートを見るのは初めてだった。そのコンサートは、過去のモチーフやショウの再現をふんだんに取り入れたお祭りのようなステージだった。もちろん私たちの青春はそのまま、松任谷由実という姓になってからの音楽と共にあったから、ほとんどの曲を口ずさめる。楽しくて楽しくて、とにかく「すごい」しか言葉が出なかった。訳もなく涙が止まらなくなる瞬間もあった。そのコンサートでユーミンが最後に言った「私はこんなもんじゃ終わらないですから!」という言葉には、驚きとともに大いに勇気づけられた。→セットリスト含むレポート記事
今回のツアー、他の抽選に全部外れたが、最後の最後にチケットが取れた。それも、行きたかった横須賀の。そして今日、おさないと横須賀線内で待ち合わせて会場に向かった。説明すると長くなるが、おさないは最近また色々な新しい発見をしたようで、その一部を電車の中で聞き、私はあまりの壮大さに訳がわからなかったけれど「そうなんだぁ…」というぐるぐるとした脳内のまま会場についた。
(この内容は、いつか上手く伝えられるようになったら改めて書く…かも)
席はオペラ座のような作りのホールの一番上、5階席の一番後ろのど真ん中だった。会場を一番俯瞰して見渡せる場所。後ろに人もいないし、かえってマイペースにステージに集中できる。これで音が良かったらいいねえなんて言いながら、スタートを待った。
始まりは武部聡志さんが弾く、パイプオルガンだった。え、さっき電車の中で「私が、いま死んでも…」の話してたよね? 深海をイメージした深いブルーの中で「翳りゆく部屋」が演奏される。音が濃い。過去にも音楽の演奏に鳥肌が立ったことは多々あれど、一曲まるまる震えが来るほどの鳥肌が立ちっぱなしだったことは過去にない。このコンサート、一体どうなっちゃうんだろうか?
…と、こんな風にセトリ全てを書き尽くす気力は到底ない。なぜなら、途中でもっと驚くようなことがあったから。さっき電車の中で聞いていたことに直結するような映像が流れた時にはおさないと「はっ」と顔を見合わせた。(これもどういうことなのかいつかおさないがまとめてくれたらシェアします)それに、新しいアルバムにはノートルダムという曲も入っているし、最後の方に出てきた、違和感のある地球の映像も完全にさっきの話と合致していた。
わけがわかっていない私は、ただポカーンとするしかなかったが、ユーミンがただのミュージシャンなのではないということははっきりわかった。
私の拙い理解は…
もう二度と前と同じ世界には戻らないということ。
分かれてしまった世界とはずっと離れてしまったこと。
その中で、全く新しい目で希望を見つけること。
離れていても、同志とは手を繋げること。
そんなことだったと思う。
過去の曲にも全てメッセージが込められている。膨大な名曲の数々からセレクトされたセットリストは、ユーミン曰く「なんとか伝えたいことが入れられた」内容だったんだろう。
67歳の松任谷由実のパフォーマンスはただすごいのではなくて、それを超えて何かを真剣に伝える人の姿勢だった。歌も、演奏も、ダンスも、衣装も、全てのステージ効果もそのためにある。崇高であり、愛に満ち溢れている。それを目の前で見た私は、背筋が伸びる。想像もつかないことに畏怖の念も感じる…。今夜はそんな体験をした。
おさないも今日のこと、ブログに書いたとのことでシェア。
(表紙の画像はコーラスの今井マサキさんのTwitterより。また、ステージの画像は松任谷由実オフィシャルTwitterより。)