おじさんの喜びが爆発するのを目にして、毎回涙する話
友人と3人で毎年1度、高中正義のコンサートに行く。
タカナカは、70年代終わりから活躍しているレジェンド的なギタリストだ。
中学生の時にJOLLY JIVEを擦り切れるほど聴いて(レコードだからね)、虹伝説に収録されている2曲は中学のダンス発表会で採用された。(私はサンダーストームで黒いレオタードの嵐役だったかと・・・)美しくてちょっと怖いゴブリンの絵本は、部屋で一番よく見える場所に飾っていた。
大人になって、タカナカがまだ日比谷の野音を満席にしていると知り、友達に誘われたのをきっかけに毎年恒例行事のように観に行くことになったのだけれども、一音響かせれば紛れもなくタカナカの音。その変わらぬ演奏に感動したし、毎年「音楽って本当にいいなあ・・・」という感慨に浸らせていただいている。
自分たちも十分なおじさん、おばさんではあるが、タカナカのコンサートでは若手の方かもしれない。来場者の8割がたがおそらく60代~70代。ここではあえて「おじさんたち」と呼ばせていただく失礼をお許し頂きたいのだが、まあ、なかなか年齢層が高い。
そんなおじさんたち。コンサートが始まっても基本的には座って、身体を軽く揺らしながら聞いている感じ。アマゾンズ(女性3人のコーラスグループ。長らくタカナカのバックコーラスをつとめている)が出てくると、軽くヒューヒューと盛り上がるくらい。
でも、コンサートも佳境に入り、名曲BLUE LAGOONやREADY TO FLYが始まると状況が一変。やおら立ち上がり、タオルをぶんぶんと降って、腕を高く上げての手拍子とともに、身体を大きく揺らして盛り上がる。
彼らにとって、タカナカは永遠のアイドルなんだと思う。だれもが満面の笑顔、タカナカも終始ゆるーくリラックスして、時には直接対話したりもして、会場を埋め尽くしたおじさんたちとともに盛り上がり、本当に楽しそうにギターを弾く。
ある年の野音のステージで、ライトの逆光に浮かび上がるその光景を見て、私はなぜだかわからないけど号泣してしまった。社会の重圧の中で何十年も頑張って来た年代の男性たちが、こんなに純粋に喜びを爆発させてキラキラしているところなんて、日常ではありえない。
どんな人にとってもその中に眠っている「本当の喜び」がほとばしった時、独特の振動が伝わってくる。大げさではなく、これが生きる喜びっていうやつじゃないの?音楽ってすごいな。コンサートや舞台をみたらそのあとしばらくがんばれるって、そういうエネルギーなんじゃないの。
今年はコロナの影響で席数が少なくなり、東京のライブが取れなかったので、私たちは初めて仙台へ行った。どこに行っても、タカナカはタカナカだったし、会場のお客さんも私たちも違和感なく、同じ。
タカナカ、67歳。バックのミュージシャンも70overが多くなってきたけど、いい演奏をまだまだ魅せてくれて本当に本当に感謝でいっぱい。