ほおずき鳴らすの、難しい

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夏といえば、ほおずきだ。大きな鈴のようになったほおずきの鉢を見ると、楽しかったお祭りの夜が思い出される。

最初にお参りしなくちゃ、と鬼子母神のお堂を急いで駆け上がったこと。サッカー地の浴衣と兵児帯の肌触り(子供用やね)。飴細工のおじさんが、次々と器用な手つきで動物を作るのを見ていたこと。おばあちゃんの家に戻ったら、いとこたちと一緒にまた、ほおずき鳴らすのにチャレンジしようって思っていたこと。

ほおずきを鳴らすって何?って思う人もいるだろう。たぶん、おもちゃがあまり無かった頃の遊びだ。オレンジ色に完熟したほおずきの実を手で長い時間揉んでほぐして、これ以上塊が見つからない!と思うほどになったら、そっと房から実をはがし取り、接合面を楊枝で少しづつ突いて穴を開ける。口を破らないように注意しながら少しづつ中の種やわたを取り出してきれいに洗い、小さな風船のようなものを作る。それを上手に口の中で鳴らすと、ブーブーと大きな音が出るのだ。

小さな私は、いくら注意深くやってもほおずきの口を破ってしまった。揉んでいるうちに青臭い匂いが指に少しづつ染み出して「あー、またやぶっちゃったなあ・・・」とがっかりした。たまーに許容範囲内のほおずき風船が出来ても、それを器用に口の中で膨らませて、音を出すのが難しい。

大きな音で見本を見せてくれたのって、誰だっけ?わたしは結局、ほおずきを上手に鳴らせたことがまだ無くて、記憶にあるのは口に含んだ時のほおずきの残った汁が苦くて青い味だった・・・ってことだけ。

そう。ほおずきってその色形に反して苦くて、とても食べられる代物ではなかった。だけど今日、この写真に写っている食用ほおずきを、恐る恐る食べてみてびっくりしたの!フルーツみたいに甘酸っぱくて美味しい!あんなに揉みくだくのに苦労した種も、柔らかく改良されてて全然嫌じゃない。

ペルーではこういうほおずきが食べられているそうだ。日本ではかなり珍しい部類のものだと思う。成分を分析したら、ビタミンがあり得ないほどたくさん入ってて「スーパーフルーツ」って呼ばれるんだろうなあ。そんな味がしたよ。

食べられるほおずきをもぐもぐしながら、昔ながらのほおずきを、また何時間も揉んでみたいなぁとも思った。手の温度で生温かくなるんだよね。気づけば9月も半ば過ぎ。朝から虫の声を聴きながら、もうどこにも無いよなぁと思ってる。


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