ビクター犬

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ガラスペン画、143日目の投稿より。(Instagram @glasspen_says)

ビクター犬を見ると、遠い思い出が蘇る。

小さい頃、デパートのディスプレイに飾られたこの人形を見て、触ってみたくなってうっかり手を滑らせ、犬を倒して割ってしまった。母が店員さんに平身低頭してお詫びをしていた。申し訳なくて、悲しくて、でもビクター犬が大好きで。

数年前出張で岡山に行った時、仕事終わりに倉敷を歩いていたら不思議な店を見つけた。骨董品屋さんだが、店の外いっぱいにビクター犬が見える。扉の外にはもちろん、屋根にも乗っかっている。店の中はもちろんビクター犬でいっぱい。へええ…と思って、楽しく一つ一つ見て回った。そこでこの犬が「ニッパー」という名前であることを知った。

思い出が積み重なり、ニッパー(時々名前を忘れてしまう)を見るといつでも甘酸っぱい気持ちになる。

昨日、電車の中でこの絵柄のついたトートバッグを持っている人を見た。レコードジャケットにニッパーが描かれている。そして上からレコードが半分顔をのぞかせている。そして、未だ、蓄音器とニッパーの対比は完璧に素敵であった。

でも、
「HIS MASTER’S VOICE」
この一行にこめられた物語を知っている人はあまりいないんじゃないかな。

以下、ビクターのサイトから引用

ビクターマークの原画は、1889年にイギリスの画家フランシス・バラウドによって画かれました。

フランシスの兄マーク・H・バラウドは「ニッパー」と呼ぶ非常に賢いフォックス・テリアをかわいがっていましたが、彼が世を去ったため、彼の息子とともにニッパーをひきとりフランシスが育てました。

たまたま家にあった蓄音器で、かつて吹き込まれていた兄の声を聞かせたところ、ニッパーはラッパの前でけげんそうに耳を傾けて、なつかしい主人の声に聞き入っているようでした。

そのニッパーの姿に心を打たれたフランシスは早速筆をとって一枚の絵を描き上げました。

その時の蓄音器は録音・再生ができるシリンダー式でしたが、その後円盤式に画き変えられました。そして、「His Master’s Voice」とタイトルをつけたのです。

亡き主人の声を懐かしそうに聞いているニッパーの可憐な姿は、円盤式蓄音器の発明者ベルリナーを感動させ、彼はこの名画をそのまま商標として1900年に登録しました。それ以来この由緒あるマークは最高の技術と品質の象徴としてみなさまから深く信頼され、愛されています。