【心に残る店】あたたかい額縁・文海堂(鎌倉)

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鎌倉方面に越してきて1年3ヶ月が経った。まだまだ魅力的な場所もお店も回りきれていない新参者だが、それでも大好きな店、無くなったら絶対やだ!というお店がいくつもある。その一つが文海堂さん。この11月に初めて行うグループ展の準備が始まってからはたびたびお邪魔している。

思い出せば「額縁屋」さんには憧れがあった。以前住んでいた場所の近所にあったお店も小さな頃から「パリみたいだな(行ったことないけど)」と思いながらちらっと店内を覗き、通り過ぎていた。木が曲線に美しく彫られて、その上からアンティークな色味のゴールドが施されている。そんな枠のサンプルを見るたびに心躍ったし、中に敷くマットの微妙な色の違いによって、作品が全く別物に見えてくるのも面白かった。

しかしながら、私は絵が苦手だった。「絵は無理」という呪縛が長年あったから、ついぞ自分の絵を素敵な額縁に額装する日がくるなんて思いもよらなかった。人生とはわからないものである。

11/10からのグループ展を準備するにあたり、自分の絵にタイトルと値段をつけて販売するということは、かなりかなり大きなハードルだった。言ってみれば、コンフォートゾーン抜け企画の一つ。去年一旦は抜けたつもりでいた自分だったが、最初からわかっていたように、コンフォートゾーンを抜けた先がまたやがて新たなコンフォートゾーンとなり、次には恐れ・不安のフェーズがやってくる。結局、それの繰り返しなんだよね。

話を戻す。
とににもかくにも、グループ展の日取りは決まっているから、額縁を検討せねばならない。その段において、自転車で一山越えたら文海堂さんがあるというのは本当に嬉しく、心強いことだった。歴史あるこのお店は、子どもの頃気になって仕方なくてちらと覗いた、あのお店と同じ雰囲気がする。いや、こちらの方がもっと広くてショーウインドウからして魅力的である。時々、絵や展示されている額縁が変わる。それを見ているだけでもワクワクする。

そして一番大好きなのは、こちらのご主人がたびたび端材で作られているミニ額縁。一つとして同じものがない。大きいものなら手が出ない部材も登場する。画角もまちまちなこのミニ額縁を買って「何を描こうかな…」と思案する時の楽しさよ。ああ、本当に文海堂さんが近くてよかった!

(ちなみに今日ミニ額のコーナーを見ていたら、額の中身の部分が1センチに満たないものがある…これは絵を描けないけど、どうやって使うのかな?と思っていたら、「このミニ額を、壁に北斗七星の形に壁に並べて、飾っていらっしゃる方がいるんですよ」とのこと。素敵だなあ)

 

奥様は色々よくわかっていない私にも優しくしてくださって、今日は展覧会のハガキも置いてくださるとのこと。恐縮ながらお渡ししました。そしてあの名村大成堂の筆棚(家のすぐ隣が会社だったんだー)、リキテックスや油、水性のラックや、見たこともないような画材もあって、心惹かれる。作例なども見せてくれながら、使い方を親切に教えてくださるのだ。

また、額縁を思う存分選びたいな。それには描いて販売していた絵が売れて、また次…と循環していくことだ。グループ展の折には、自分の心や愛のカケラであるガラスペン画たちがたくさんお嫁入りしてほしい。来場者の皆様、どうぞどうぞよろしくお願いします(笑)

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