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年の瀬に音の振動を身体で感じた

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気づけば、今年も残すところあと数日。今日は明王院の護摩法要に参列した。

ここに来るのは東日本大震災の後に行われていた「写経の会」以来、その時20年以上ぶりに再会した友と、今では公私共にいろんな活動をするようになった。また自分自身、今年は思いもよらず北鎌倉へ引っ越したのだなあと思うと、何だか不思議な気もしたし感慨深かった。

若いご住職の話はすごく明快で愛があり、スッキリとしていた。芯はしっかりしながらも軽く、これからの新しい時代を感じさせるものだった。

経本を追いながら慣れないながらも声を出してみる。後半には般若心経を3回。・・・これだけは、かつてそらで唱えることができたんだ。おばあちゃん子だった私は早くに祖父を無くした祖母が心配で、毎晩夜になると泊まりに行っていた時期があった。そして祖母が毎朝唱える般若心経をいつの間にか覚えてしまった。今思うと祖母独特の演歌のような節回しがあって、お寺で聞くそれとはちょっと違っていたんだけれども。

今日久しぶりに唱えてみたらだいぶ忘れていたけれど、あの朝の祖母の後ろ姿を思い出しながら少し声を出してみた。

今年のお札をくべた火は燃え盛って、お堂いっぱいの声と太鼓の音がだんだん、だんだん大きくなる。ああこの感じ。外と中からおり重なる振動。これはどんなにか人の気持ちを持ち上げてくれるものだろう。今年は地元・雑司が谷の御会式も、鎌倉のあちこちで行われるはずだった数々のお祭りもなかった。今年の最後に音の振動を身体で感じたことで、今更ながらその喪失感とありがたみを味わうことになった。

大晦日まであと3日。除夜の鐘は、少し寒いけれど窓を開けながらしっかり耳を傾けようと思う。