個展にご来場くださる方への手紙

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明日7月1日、鹿児島での展示がはじまります。

7月9日(土)、10日(日)に4回ワークショップを行うので、私はその日は終日在廊しています。

ご来場くださる方への手紙を書きました。長くなっちゃったけど、自己紹介代わりに読んで頂けたらと思います。新しい出会いが、とてもとても楽しみです!

ご来場くださったみなさまへ

本日は、貴重なお時間に足をお運びくださり誠にありがとうございます。少し長くなりますが、ご挨拶の代わりに自己紹介をさせてください。

私は、昨年のちょうど今頃2021年7月に、鎌倉市のとあるガラス工房で「ガラスペン」に出会いました。たまたま友人と通りがかって入ったお店でした。普段は「落としてしまったらどうしよう」などと思い試し描きはしないのですが、ガラス職人でもあるお店のご主人が「簡単ですよ。こんな風にインクにつけるだけでシューっと描ける。」とおっしゃるのでその言葉に押されてペンを手に取ってみました。

ガラスの繊細な先端が、紙にカリカリと滑る不思議な感覚があり「これは気持ちいいな」と思いました。それと同時に「これで何か描いてみたい」と思いました。

私には長年「絵が下手で描けない」というコンプレックスがありました。一緒にお店にいた友人は絵を学び、現在も描いて販売しているほどの方で「絵が上手くなりたいんだったら毎日描くんやで」(←大阪出身の方です)と教えてくれました。私はそれを愚直に守ってみようかなと思い、その日家に帰ってすぐにインスタグラムに新しいページを作り、毎日投稿し始めました。(Instagram @glasspen_says)

何を描いていいのかわからないので、初めは目の前に仁王立ちになっている猫を描きました。その後は散歩しながら見た風景、刺繍の模様の一部などなど…。「こんな絵を投稿するのは恥ずかしい」「もっと絵の上手い人はたくさんいる」などと毎日葛藤しましたが、とにかく毎日描き続け投稿しました。

その間、徐々に見てくれる人が増え出し、自分が「これはさすがにダメかな」と思うような絵にたくさんのいいね!やコメントがついたりし始めました。自分の思い込みは、他の人の感覚とは全く違うものなんだということを悟りました。

毎日投稿を続けて262日。色々なご縁をいただきました。10月には東京の高円寺でグループ展に参加、その後2022年の目標として掲げていた鎌倉での個展を1月に一か月行いました。「私もやってみたい」という方が現れたのでワークショップを始め、島根県出雲市、富山県氷見市などで出張講座、そして今回初めて鹿児島にて出張ガラスペン画教室をさせていただくことになりました。(ガラスペンにまつわる経緯はホームページのブログにまとめていますのでよろしければお読みください。)

産みの苦しみや楽しさも感じつつ、このように展覧会という形を実現することができたのは、ひとえに小さなご縁を繋いでサポートしてくださった方々、またこのようにご来場くださった方々のお力によるものです。この場をお借りし心より御礼を申し上げます。

いま私は「物事というのは形にしてみないと分からないものだな」ということを痛感しています。そして「誰でもいつからでも、何かを実現することは可能だ」ということ、「ささいだと思われるきっかけも、行動を通して大きな流れになっていく」ということを、私はこの一年心から実感しました。

そして多くのワークショップ参加者の皆様との交流を通して「どんな人のどんな線も愛おしくオリジナリティに溢れている」ということも知りました。ぜひお時間が許せば7月9日、10日に予定しておりますワークショップにもご参加くださいませ。

展示タイトルの「なないろ」は、大好きな向田邦子さんの小説の中でサン・ロイヤルホテルから見た桜島が七色に輝くと言われている、と書かれた一節から取らせていただきました。

本日は、本当にありがとうございました。